~する前に一覧><脱サラをする前に*リンクフリー 全頁無断転載禁止 2020年8月更新

生命保険加入する前に(3)

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<第3講>

 次にケガや病気をしたときに入院費や通院費を保障してくれる「医療保険」について説明します。

 私の印象では、最近の生命保険のCMは「死亡保険」よりも「医療保険」の商品が多いように感じていま す。外資系企業が、新聞に大きく載せている広告は主にこの医療保険の商品です。外資系企業に限らず、 最近の傾向として各生命保険会社は医療保険に注力しているようですが、現在、「死亡保険」の普及率は 90%を越えていますので、「医療保険」に活路を見出しているようです。

 その「医療保険」について書く前に「公的保険」について説明したいと思います。理由は、公的保険につい て知識を持っておくことは、民間の医療保険に契約するときの保障額に関係があるからです。

 「公的保険」とはいわゆる「健康保険」のことですが、健康保険には日本国民なら余程の理由がない限 り、全員加入しているはずです。私のサイト上の「脱サラ考察」にて詳しく説明していますが、「健康保険」に は、働いている企業が発行しているものと居住している市町村が発行しているものとがあります。加入して いる「健康保険の団体」により個人が負担する割合が異なりますが、「3割負担」が最も多いのではないでし ょうか。

 団体の中には、個人負担を1割にしていたり、「ゼロ」という信じられない団体もありました。しかし、各団体 には国からの補助金が投入されていますので、さすがにこれは是正措置が求められました。

 それはともかく、この公的保険制度のおかげで、どんなに治療費が高くなろうが、窓口で支払うのは「3割」で済むよ うになっています。つまり、公的保険に加入しているなら支払額は「3割」で済むのですから、民間の「医療保険」はそれほど高い保険に入らなくてもよいの です。

 しかし、重大な病気の場合、入院費なども高額になりたとえ個人負担が「3割」であっても治療費が高くなるこ とがあります。ですから、そうした場合に備えて民間の「医療保険」も高い保障額のものに加入したほうがよい、と 考える方もいるでしょう。

 確かに3割負担でも治療費が高額になることがあります。しかし、「健康保険」には「高額療養費制度」というものがあります。「高額療養費制度」とは、どんなに医 療費が高くなっても支払うべき「1ヶ月間の医療費」に上限を設けている制度です。差額ベッド代や食事療養 費などは医療費の対象になりませんが、例えば、手術や長期入院費などで自己負担額が10万円を越える ような場合でも、実際の支払い額が8万円~9万円くらいで済むようになっています。この上限は当人の収 入状況などにより多少変化しますが、医療費がかなり抑えられることは間違いありません。

 このように、誰もが加入している「公的保険」により医療費はある程度抑えられるようになっていることを 念頭に「医療保険」について考えることが大切です。

 「医療保険」を考えるとき、私が全体的に考えて割安感を持つのは各種「共済」です。「共済」でも「死亡し たときに保険金が支払われます」が、基本的に死亡保障額は低く設定されています。しかも、死亡原因により保 障額が変わってきます。その意味で、私は「共済」を「医療保険」と捉えています。

 「共済」も一応、民間会社と競争関係にありますので、ここであまりに強く紹介するのは宣伝にあたりそう で、少し気にかかります。ですが、実際に契約者にとって民間会社より魅力的な商品を販売しています。そ の理由は、共済ですので民間のように利益を重視しない経営だから、と私は思っています。

 私は、個人的に「共済」に好感を持っており、現に加入していますが、一番の理由は保険料の安さです。 月々2,000円の保険料である程度の保障が受けられるのは、やはり魅力です。しかも、割戻し金がありま す。もし、決算後に剰余金が出たときで事故がなかった場合は、割戻し金として支払った保険料の何割か が還付されます。つまり、保険料は実際にはもっと安いことになります。

 「共済」をあまり褒めすぎますと、不公平ですので問題点も指摘しておきます。一番の問題点は、共済が 破綻した際に、契約者を「保護するシステムがない」ことです。民間生保の場合は、どこかの生命保険会社 が破綻したとき、契約者に対して保険金を支払う(全額ではありませんが)「生命保険契約者保護機構」とい うセーフティネットがあります。「共済」にはそうしたシステムがないのが一番の問題です。それ以外にも、支 払いのスピードなど問題点がないこともありませんが、全体的には民間生保より魅力的であるように思いま す。

 そのほかに注意点を上げるとするならば、下記のような点です

・画一的な商品しかない
・保障される年令に制限がある

 ことです。

 例えば、ある共済などは60才までは「病気」のときも「ケガ」のときも共済金は出ますが、60才を越えると 「ケガ」のときしか保障されなくなってしまいます。ですので60才になったときに「病気」による保障がなくなっ てし まうこともあり得るのです。また、先に書きましたが、共済は死亡保険金が低く設定されています。それ を補う意味で民間生保に加入するのも1つの考え方です。

 「共済」に限ったことではありませんが、保険に入るときはその企業や商品のデメリットも踏まえたうえで契 約することが大切です。

第3講おわり。

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