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~する前に一覧><脱サラをする前に*リンクフリー 全頁無断転載禁止 2014年8月更新

損害保険加入する前に(3)

はじめに 傷害保険 火災保険 自動車保険

火災保険

 数年前、火災保険において大問題が起きたのをご存知でしょうか。特定の保険会社ということではなくほ とんど全ての保険会社で起きました。それは、保険料の「取りすぎ」が発覚したのでした。
 火災保険は建物の立地している地域や種類、構造などにより保険料が違うのですが、その種類や構造な どの判定に誤りがあったのでした。これ以外にも、詳細は省きますが、計算上のミスがいろいろなケースで 見られました。
 こうしたミスが起きた理由は、単純に、保険を販売する「代理店が精通していなかった」からです。そして、 保険会社もそれを野放しにしていたからです。
 例えば、保険金額は「建物の評価額」を基準に設定します。特別な場合を除いて、決して評価額以上の 保険金額は設定できません。もし、それを認めてしまうと、いわゆる「焼け太り」ができてしまうからです。そ して、保険料は評価額を元に算出されますので、仮に評価額が誤っていたなら、保険料も間違っていること になります。こうしたことで「保険料の取りすぎ」などが起きました。
 損害保険は、基本的に代理店が販売するものですが、代理店にもいろいろなタイプがいます。専業代理 店もいれば、車販売のディーラーや整備工場、また不動産会社なども代理店になっています。そして、それ らの代理店には得手不得手があります。ディーラーの代理店ですと「自動車」が得意となりますし、不動産 会社の代理店ですと「火災」が得意となります。このとき、ディーラーの代理店が「火災保険」を契約するとき は注意が必要です。不得手である確率が高いからです。こうした傾向は一概に決め付けることはできませ んが、目安にはなるように思います。
 最悪の場合は、契約内容が適切でないばかりに保険金が支払われないこともあり得ます。しかし、現実 問題として、一般の人が火災保険の契約内容が正しいかどうかはわかるものではありません。ですから、 火災保険を契約する際は、2社ほどから相見積もりを取るのがよい方法です。その差額があまりに大きい ときは、どちらかが間違って計算していることになります。無駄な火災保険の保険料を支払わないために は、セカンドオピニオンを利用するのは賢明なやり方です。
 セカンドオピニオンを知る方法として、銀行の入口横のラックなどに置いてある「共済のパンフレット」は役 立ちます。パンフレットでは、とても分かりやすく火災保険料を知ることができますのでセカンドオピニオンに は最適です。もちろん、そのまま契約するのも選択肢の1つです。

 当然ですが、火災保険は、保障する範囲によっても保険料が違ってきます。「当然」と書きましたが、勘違 いしている人もたまにいます。
 火災保険について無関心な人は、「火災保険」が「火事になったときだけ」と思いこんでいます。しかし、 「火事」以外の災害でも「保険の対象になっている」ものが幾つかあります。例えば、「台風」や「強風」、「落 雷」など、少なくとも4つほどの災害をカバーしています。
 ここで、注意しなければならないのは「地震」です。地震における災害は対象外となっていることは注意が 必要です。「地震」が対象外となっているのは、地震による災害は規模が甚大なため保険会社では対応で きないからです。それこそ、保険金支払いで倒産してしまうでしょう。そのために国が補助金を出している 「地震保険」があります。
 火災保険は多くの場合、セットで販売されています。例えば、「住宅火災保険」や「住宅総合火災保険」と いった名称でセットになっています。名称で想像がつくと思いますが、「総合」がついたほうが対象範囲が広 くなっています。つまり、それだけ保険料が高いことでもあります。
 保険会社に限らず、企業は売上げを上げるために客単価を上げることを考えます。そのためにオプショ ンなどを加えたりします。保険会社も同様で、「住宅火災保険」よりは「住宅総合火災保険」が売れることを 望みます。こうした考えが押し進められ、近年では対象範囲をさらに広げた商品も販売されており、また、 そうした商品をお客様に勧めるセールストークを行っています。
 しかし、私はこうした傾向に疑問を持っています。今までにも幾度か書きましたが、保険は「もしも」のため のものでしかありません。ですから、「もしも」のためだけに高い保険料を出費するのは考えものです。仮 に、客単価を高くしたいがために、営業マンがセールストークをするなら、インチキ宗教と同じになってしま います。相手の不安心理を煽って高い保険を売るべきではありません。また、消費者の側も、不安心理か ら安易に保険会社に勧められるままに保険の対象範囲の広い火災保険に入るべきではありません。火災 保険はシンプルが一番です。
 火災保険と聞きますと、普通の人はすぐに「建物」を想像すると思います。ですから、賃貸に住んでいる方 は、火災保険とは無関係と思うかもしれません。ですが、火災保険には「家財道具」も保険の対象にできま す。独身であったならそれほど家財道具もないでしょうから、火災保険を考えなくてもよいでしょう。しかし、 所帯を持ち家族で生活しているなら「家財や道具」に対しての火災保険は考えたほうがよいかもしれませ ん。保険料も年間でそれほど高くないですから、一考する価値はあります。
 因みに、火災が起きたときには「失火責任法」という法律があります。これは例えば、隣家から出火し自 宅に燃え移ったとき、つまり隣家に出火責任がある場合でも隣家に損害賠償を請求できない、という法律 です。つまり、特別な事由がない限り、火災においては自分で対処するしかないのです。ですから、火災保 険には加入しておいたほうがよいのです。
 しかし、「失火責任法」があるからと言って、火災を起こしたときに全くなんの責任も生じないかというと、そ うではありません。先に「特別な事由」と書きましたが、「重大な過失」があった場合はその限りではありませ ん。では、その「重大な過失」とはなにかと言いますと、下記のような場合です。
・てんぷらを揚げている途中に、ガス台から離れたために油に引火して火事になった場合
・電気コンロをつけっぱなしにして、そのまま眠込み火事になった場合
・布団の一部がストーブに触れて火事になった場合
 これらの例のように、非常識な対応で火事を起こした場合は「重過失」と判断されてしまいます。「失火責 任法」があるからと言って油断してはいけません。

 それはともかく、この「失火責任法」という法律を聞き、
「住居が賃貸であるなら、過って火事を起こしても隣近所に賠償責任は負わなくて済むし、建物は自分の所 有ではないからなにも心配することない」
 と考える人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです。確かに、自分の責任で出火しても失火責 任法により隣近所に賠償責任は発生しませんが、実は、大家さんには賠償責任が発生します。そのことは 頭の隅に入れておいたほうがよいでしょう。因みに、そうした場合に備えての「借家人賠償責任保険」という 保険があります。

 以上で、火災保険についての説明は終了ですが、火災保険では噂の類を出ない話が流布されていること が多くあります。例えば、「火災にあっても、柱が1本でも残っていると保険金は出ない」などという話がまこ としやかに囁かれています。こうした話は、火災保険を正確に理解していないことによるものがほとんどで す。たぶん、こうした誤った話は、保険金の支払い方法が「比例」によるところからきているのだと思いま す。
 先に、保険金額と評価額の話をしましたが、保険金額の設定が評価額と異なっている場合、実際に被害 に遭った額と支払われる保険金額が合致しないこともあります。こうしたケースでは、契約的には問題があ りませんが、契約者としては納得できない、と感じることも多いでしょう。そうした納得できない事態にならな いためには、契約する際に正しく契約することが大切です。無駄となることが多いオプションを増やして保険 料が高くなる契約などせずに、火災保険の基本を正しく理解して少ない保険料で済むように心がけましょ う。

<火災保険>終わり。


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