~する前に一覧><脱サラをする前に*リンクフリー 全頁無断転載禁止 2020年8月更新

生命保険加入する前に(4)

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<第4講>

 たまに勘違いしている方もいるのですが、損害保険でも入院、通院時に保障する保険があります。しか し、損害保険の場合は 「ケガをしたときだけ」 保障される保険です。いわゆる傷害保険です。しかし、数年前より 損害保険でも病気をしたときにも保障する保険が販売されていますが…。


 医療保険に加入する際に確認しなければいけないことは次の点です。

1.入院、通院する理由に「病気」も含まれているか
2.保障対象にならない病気・手術
3.保険金支払い日数の上限
4.年齢による制限
5.1日目から保障されるか

 上記のうち2番目の「保障対象にならない病気・手術」はとても重要です。数年前ですが、皮膚がんを発症した契約者が保険金を申請したところ、保険会社から拒否された」と報じられたことがあります。拒否の理由は、その皮膚がんが保障の対象外だったからですが、ネットなどではかなり物議をかもし、現在ではその皮膚がんも保障する保険が主流になっています。

3番目の「支払い日数の上限」も重要です。さらに「上限」のカウントの仕方も大切で、「連続」と「通算」という種類があります。例えば、上限日数が30日だったとしても、入院が2度に分かれた場合に、「連続」でカウントするのと「通算」でカウントするのでは、保障される日数が変わってきます。こうした点も確認することが大切です。

最後に書きました「1日目から保障されるか」は、近年の医療技術の進歩と治療方法の変化により慎重に考える必要があります。実は、かつての保険の入院保障は「5日免責」が一般的でした。つまり入院しても最初の5日間は保障されず、6日目から保険金が支払われる契約です。理由は、免責期間を設けたほうが保険料を安くできるからです。

もちろん「1日目から保障する」ことをアピールする保険もありましたが、保障が厚くなる分、保険料が高くなるというデメリットがありました。ですので、売りやすい商品という意味で「免責」を設けた保険の販売が主流となっていました。実は、私も以前は5日間くらいの免責は当然と考えていました。

ところが、私は2013年に心臓の手術を受けたのですが、その際の入院日数がわずか3泊4日だったのです。周りの入院していた患者さんを見ていますと、ほぼ全員が短期間の入院日数でした。手術内容につきましてはあとに書きすが、素人からしますと決して簡単な軽い手術のようには見えない手術です。それにもかかわらず3泊4日の入院日数でした。

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私の心臓疾患
 私は2013年に心臓の手術を行いました。治療名を「カテーテルアブレーション」というものですが、心臓の脈拍が異常に発生するのを治療する手術です。当時のコラムにも書きましたが、人間の身体というものは実に巧妙にできているらしく、自ら電気を発生させるそうです。その電気によって心臓は脈を打つのですが、本来は心臓を1回動かすと消滅するところを、私の場合はその電気が消滅せずに続いてしまうので不整脈が発生していたようです。

 手術は足の付け根と肩からカテーテルを入れてそこから高周波電流を流して異常な電流経路を焼灼する方法でした。今の医療技術の進歩には驚かされます。心臓の中に電流を流してなにかよくわかりませんが、なにかを焼くのです。一般人には信じられない手術です。

このような説明を聞きますと、かなりの手術日数を要するように思いますが、わずか3泊4日です。素人が考えますと大々的な手術のように思いますが、医療関係者からしますと、それほど大層な手術ではないのかもしれません。

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このように心臓手術に限らず、近年の手術治療法はできるだけ入院期間を短くするのが主流になっています。そうしたことを踏まえますと、医療保険も短期間入院に合わせた契約内容にするのもひとつの考え方です。私のケースで言いますと、もし「5日免責の保障」で契約していたなら保険金を全く受け取れなかったことになります。現在の医療技術の進歩を鑑みますと、免責期間を設けるのは慎重になったほうがよいかもしれません。



 医療保険を考えるとき、1日に要する入院費用の目安はとても重要です。ある保険会社のパンフレットには、1 日に必要な金額を15,000円と記載してありました。この数字の根拠を「あるアンケート機関の結果」としていますが、ほかの保険会社にはもっと低い数字を提示しているパンフレットもあります。

1日にかかる費用は 患者さんの状況や病院の環境などにより異なることがありますが、あまりに差がありすぎますと信頼感を損ないます。保険会社は、保険料をアップさせるために「必要な費用を多く見せる」傾向があります。そうしたことを考慮して、契約する前には、入院に本当に要する費用を自分で調べることが大切です。

 …と、ここまでは保険料を安くすることを考えてきました。次は反対に保障をしっかりつけましょう、というお話です。

 今の若い人たちが自然災害と聞いて真っ先に思い出すのは「東日本大震災」です。津波で多くの地域が街の形を残さないほど壊滅しました。3階建てのビルの屋上に自動車が上下さかさまになって残っていた映像は衝撃的でした。

あそこまで強烈な災害ですと、どのような建物でも被害を免れませんが、あそこまでの強烈な災害は頻繁に起きるものではありません。東日本大震災の前の災害と言いますと、淡路大震災です。この震災も大きな被害をもたらしました。淡路大震災で強く記憶に残っている映像は高速道路が倒れている映像です。

頑丈なコンクリートで作られている高速道路が倒れるなど、それまで想像もできないことでした。それほど強烈な大震災でしたが、東日本大震災とは異なり津波が起きませんでしたので倒壊を免れた建物もありました。

では、どのような建物が倒壊を免れたかと言いますと、耐震度に対してギリギリの対策をしていたのではなく、余裕を持ってしっかりと作られた建物や高速道路などの建造物でした。つまり、「もったいない」からという発想でぎりぎりの予算で作られていたものは地震に耐えられなかったのです。地震は数十年 に一回あるかないかという災害です。そのあるかないかわからない地震に備えるということは、もしかしたな ら「無駄になるかもしれない」ということです。

しかし「無駄になるかもしれない」ことが地震という「いざというとき」には役に立ったのです。こういう意味で言いますと、やはり生命保険も保障はしっかりとつけていた方が よいのかもしれません。

事故や病気などに対して、どのように対処するかは個人の考えによって様々です。いずれにしても、保険会社の言いなりになって保障額を決めるのが論外であることは間違いありません。

 …と生命保険に対する基本的な考え方を書いてきました。私は20代30代に「知らないが故」に損をしたことがいくつかありました。この生命保険もその一つです。関心を持つことがなかったからです。皆さんが私と同じような轍を踏まないことを願 っていま す。


私のお話が、皆さんが保険を考えるきっかけになればと思います。保険を見直すだけで月に 5千円浮くかもしれません。年に6万円です。あなたは何を買いますか? それとも貯金しますか?

第4講おわり。最後までお読みくださいましてありがとうございました。

*まとめサイトも作りました(平成28年4月)。⇒ まとめサイト

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